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光洞の家
「本能に響く」空間を考える
計画地は主要幹線道路に面し、激しい振動と騒音に悩まされ、防火性能も要求される地域である。更に周辺には学校が多く、プライバシーを確保する必要があり、これら諸条件を解決する為に鉄筋コンクリート造を選定した。また住み手が強く「コンクリート打放し仕上げ」を希望した。
人間の「本能に響く」空間とは、どのような空間であろうか。
「素材の在り方」が大切な要素のひとつであろう。「均質でない型枠による、手で触りたくなるコンクリート」というものが洞窟のような「原始的空間」を生み出し、「本能に響く」空間になるではないかと考えた。
敷地は不整形な五角形で、プランも敷地をなぞった形となっている。
喧噪の街から静かな住まいに移行する為、アプローチを長くとり、玄関を奥に配置した。床、壁を徐々に絞り込みつつ、光量も徐々に絞り込むことで、いつの間にか「時間の速度」が変わり、別世界に引き込んでいく。緑のトンネルを潜り、玄関に入ると、そこは洞窟のような「原始的空間」である。振り返ると階段に射し込む光に導かれながら、開放的な空間が広がる2階へと進む。
この一連のシークエンスは、不整形な五角形の平面計画が上手く作用している。見えそうで見えない間合いは次の空間へ誘う仕掛けとなり、歩く方向によって異なる風景を生むこととなった。また不整形な形状は、集まったり離れたりする動物的感覚を自然と想起させ、それぞれ心地よい居場所を作り出す重要な要素となっている。
ファサードにおいても洞窟のような「原始的空間」を表現する為、岩を穿ったように開口部を設けた。しかし開口部は居室に面しておらず、水廻りやガレージに面している。それらの室を道路側に配置することで振動と騒音を緩和し、また断熱層として機能させ、コンクリート打放しによる温熱環境の負荷軽減にもなっている。
一方で居室には、洞窟に光が射し込むかのように「2つの縦穴」を挿入し、通風と採光の確保をした。居室を小さな気積で構成した為、過剰な設備や建材に頼らない快適な住まいとなった。
内外をコンクリート打放しで統一した空間は、光や風、四季を感じる植物との一体感を生み出し、人間の「本能に響く」空間となったのではないかと思っている。
所 在 地/愛知県岡崎市
主要用途/専用住宅
家族構成/夫婦+子供
設計−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
意匠/西口賢 建築設計事務所
担当/西口賢
構造/(有)ワークショップ 担当/安江一平
造園/(株)西村工芸 担当/西村直樹
施工−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
丸中建設株式会社 担当/松井啓悟
設備 天野ポンプ 担当/彦坂浩二
電気 福釜電工 担当/赤川公一
コンクリート躯体 (株)山口土木 担当/蒲野禎幸
左官 (有)加藤工建 担当/加藤貴則
金物 (株)弘和建商 担当/鵜飼竜一
防水 (有)ベルペイント 担当/田中基之
金属製建具 (株)戸田 担当/村田年麻
木製建具 黒部建具店 担当/黒部達也
塗装 川澄塗装 担当/川澄美里
家具 タンペレ 担当/出口真樹
造園 (株)西村工芸 担当/西村直樹
庭真 担当/宮田真士
庭利 担当/荒木英志
SATONIWA 担当/佐藤貴裕
照明・建築金物 dij (株)トヨオカ 担当/川澄貴秀
構造・構法−−−−−−−−−−−−−−−−−
主体構造・構法 鉄筋コンクリート造・壁式
規模−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
階数 地上2階
軒高 5,920mm 最高の高さ 6,250mm
敷地面積 147.47m2
建築面積 68.79m2(建蔽率46.65% 許容60.00%)
延床面積 120.05m2(容積率71.49% 許容200.00%)
1階 63.80m2
2階 56.25m2
工程−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
設計期間 2014年3月〜2015年5月
工事期間 2015年6月〜2016年7月
敷地条件−−−−−−−−−−−−−−−−−−
地域地区 準防火地域 準工業地域
道路幅員 南19.0m 東4.0m
駐車台数 2台
外部仕上げ−−−−−−−−−−−−−−−−−
屋根/外断熱+ウレタン塗膜防水
外壁/針葉樹合板型枠コンクリート打放し、薄墨塗、撥水剤塗布
開口部/製作木製建具 一部アルミサッシ
外構/古煉瓦 黒(エピソードブリック)
内部仕上げ・使用機器−−−−−−−−−−−−−−−−−
床/チーク06クリアロング(IOC)
壁・天井/針葉樹合板型枠コンクリート打放し、薄墨塗
製作家具/ソファ、リビング収納
(タンペレ 出口真樹)
照明・建築金物 dij (株)トヨオカ
設備システム−−−−−−−−−−−−−−−−
空調 暖房方式/電気式床暖房
冷房方式/ルームエアコン
換気方式/第三種換気
給排水 給水方式/公共上水直結方式
排水方式/公共下水道放流方式
給湯 給湯方式/ガス給湯器
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